新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第57回2018/7/29 朝日新聞

 現役を引退した七十歳の子が、介護の必要な九十歳の親の面倒を見る。これは、過去の社会では稀なことだった。
 退職をした六十歳の親が、職に就いている四十歳の子に援助をする。これも、今までの日本の社会では珍しいことだった。
 今はその両方がよくあることになった。それどころか、この両方が同時にあてはまる場合もよくある例だと思う。
 これは、奇怪なことだと感じる。しかし、どうすることもできないとも感じる。