新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第59・60回2018/7/31・8/1 朝日新聞

 序章の流れがあるので、読者にはすぐに予測がつく。やはり、という感じだ。
 姉と、それに洋一郎本人の反応から見て、出て行った父親が、今まで全くの音信不通だったことがわかる。また、洋一郎の方も、血のつながった父のことに無関心だったことも伝わってくる。
 この父親が、自分の子どもに愛情をもち、家を出て行ったことに負い目を感じていたなら、養育費までいかなくても、子どもの成長の節目節目になんらかのことをしただろう。そういうことが一切なかったというのは、我が子への関心を失ったか、あるいは、一切の縁を切ることが子どもの将来にとって役に立つと考えたかのどちらかだ。

 誠司さんなるいとこと話した姉の様子から、父親についての話の内容が、喜ばしいものでないのは明らかだ。