新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第63・64・65回2018/8/4・5・6 朝日新聞

「部屋を見てほしい、って頼まれたの」63回

 この頼まれごとになにかあるらしい。
 実の父のことを悪く言わない人、「大家さん」が初めて登場した。序章に、父のとらえ方に洋一郎と姉とでは違いが出ていた。父の本当の姿が見えてくるような気がする。

 離婚、再婚が珍しくない世の中になったので、洋一郎のように、実の父にも義理の父にも親子の感情を持つことのできない人はこれからますます増えるのであろう。それよりも、今までの親子の情そのものが、成り立たない時代になったと思う。