新聞連載小説『ひこばえ』重松 清・作 川上和生・画 朝日新聞 第三章 父、帰る あらすじ 

 洋一郎に姉(宏子)から電話が入る。その内容は思いがけないものだった。出て行ったまま会うことのなかった実の父が死んだという。
 父(石井信也)は、一人暮らしをしていて急死したという。親類からも厄介者扱いされていた父が死んで、アパートの大家(川端久子)さんが立ち合い、火葬とささやかな葬式を済ませたという。
 その大家さんが、姉に、父が暮らしていた部屋を見てほしいと依頼してきた。死んだ父が暮らしていたアパートは、洋一郎の家の沿線にあり、洋一郎が父の暮らした部屋を見にいくことになった。
 
 洋一郎の母は、父と離婚し、実家のある備後で二人の子ども(宏子と洋一郎)を育てていたが、勧められて再婚をした。再婚相手は、長谷川隆で、妻(良江)をガンで亡くしていた。隆には、二人の子ども(一雄と雄二)がいた。この再婚同士の二人が一緒になったので、新しい家族は六人となった。
 隆(洋一郎にとって義父)は、五年前に八十歳で亡くなり、母は、備後市で、一雄と同居している。
 洋一郎は、自分の墓を考えると、長谷川家の墓に入ることはできないし、自分が育ち、母がいる備後に墓を建てるつもりにもなれないでいる。