新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第107回2018/9/19 朝日新聞

 洋一郎のことを凡庸な人物を感じていた105回感想が、違っていた。のこされたレシートからこういうとらえかたをする男はいない。しかも家族を捨てて出て行った亡き父の行動を、このように再現しようとするとは、驚きだ。
 また、死んだ父の朝食のメニューにも驚かされる。これは、今の働き盛りの単身者のありがちな食事よりも、よほど味と栄養に工夫している。
 亡き父(石井信也)そして、その息子(長谷川洋一郎)に暮らしを楽しみ、暮らしを大切にする心情を感じる。ただし、亡き父は、高齢になってからのことしかわからないのだが。