新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第111回2018/9/23 朝日新聞

 「嘘だろ‥‥」は、二回目だ。※一回目は、105回で、父の携帯に母と姉と自分が電話番号なしで登録されているのを見たとき。
 今回の洋一郎のこの「嘘だろ‥‥」は、納得できない。父の携帯に自分たちの名前が登録されていたことから、察することがあったはずだ。
 私が洋一郎なら、次のように考えただろう。
 父は、会うことがなくなっても、母と子どものことを気遣っていた。だが、「洋一郎」でなく「吉田洋一郎」と登録している。これは、何を意味するのだろうか?
 これぐらいのことは、携帯の登録から考えると思う。

 どだい、別れた父にまったくの無関心で今まで過ごしきた洋一郎の方が不自然な気がする。
 父の方は、自分に責任があるのだが、妻と子と別れたいという気持ちがあったようには見えない。そのことを、主人公は何も考えていない。これも、不自然な気がする。