新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第114回2018/9/26 朝日新聞

 父が死ぬまでいた和泉台ハイツと、自分が施設長をやっているハーヴェスト多摩を比べている。洋一郎はそうするだろうか、感想99回と思っていた。
 古いアパートと有料高齢者マンションとは、建物の造り、部屋の諸設備、部屋からの眺めまでまるっきり違う。老人の一人住まいと老人向けのあらゆるサービスが完備している施設での生活との違いは大きい。だが、老人が家族とは同居せずに一人で暮らすという点は共通だ。

 四十二歳の息子にとって、これから五年、十年先に、自分が父と同居して父の介護をすることを予測するならば、入居一時金の七千万は決して高いものではないのだろう。もちろん、息子に経済力があればのことだが。