新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第114回2018/9/27 朝日新聞

 妻と子からは、なんとなくだが疎外されている。孫の出産に関しては、まるで役立たずの存在だ。
 死んだ父の遺品整理をダラダラと続けている。父への思いは、まさにサイズの小さい死んだ父のジャッケトを着た時の感じそのまま、なんともさまにならない中途半端さだ。
 こんなどっちつかずの洋一郎を、小説の主人公にするのは作者にとって勇気のいることだと思う。
 また、こんな洋一郎を見ていると、まるで私自身を見せられているような気分になる。
 
 この現代の現実味のある父親像(洋一郎)を、淡々と描く作者の力量を感じる。