新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第121回2018/10/3 朝日新聞

 娘婿が感動しているのを、冷ややかに見ていたわりには、心の中とはいえ、軽薄ともとれるガッツポーズをする。初孫の「赤ちゃん」に「命の色」を感じているかと思えば、我が子の誕生のときのことについて、妻に嫌味を言われ、グウの音も出ない。
 初孫を見る洋一郎は、ほんとうにピリッとしない初老男性だ。
 それだけに、世間に今、溢れている初老男性の心の内を、作者は見事に描いている。