新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第122回2018/10/4 朝日新聞

 平均的な死亡年齢が低い時代は、孫の誕生時に祖父が元気で生きているのは少数派だった。
 今は、「おじいちゃん」というには元気で若い祖父は多くいる。洋一郎のように五十代後半で孫ができるということは、これから孫との関係は三十年以上続く可能性がある。

 現代は、三世代、四世代が生存する時代だ。それなのに、祖父母、子、孫、ひ孫が集う情景を目にすることはほとんどない。一時代前は、四世代が一緒に住み、一緒に暮らす風景は、幸福の一つの形であったと思う。

 今は、一家族の四世代生存は、高齢者の死亡年齢が高くなったので、増えているはずだ。だが、家族の世代間の関係は反比例するかのように、希薄になっている。
 まだ、「おじいちゃん」としては若い洋一郎だが、自分の祖父母とも父との関係すらも薄い。その洋一郎が、これからどのように、孫との関係を作っていくのだろうか?