新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第123回2018/10/5 朝日新聞

 孫のキラキラネームについての感覚は、洋一郎と共通だった。また、娘の嫁ぎ先の家についての感じ方も洋一郎がオーバーだとは思えない。
 だが、今回の、ひいおじいちゃんについての感じ方は、洋一郎との世代差を感じる。自分に孫ができてはじめて、実の父と義理の父が、ひいおじいちゃんになることを実感するというのは、違和感を持つ。
 私は、四世代で一緒に暮らした経験はないが、三世代で暮らしたのは長い。また、ひ孫を私の親に見せるという経験もしている。洋一郎には、それがまったくない。
 ひいおじいちゃんとひいおばあちゃん、おじいちゃんとおばあちゃん、お父さんとお母さん、そして、子どもが、ただ顔を会わせるだけでなく、共に暮らす場があるというのは、過去のことになったのか。