新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第131回2018/10/15 朝日新聞

 洋一郎本人と洋一郎の家族は、娘夫婦を含めて、現代社会によくいるような人間関をつくっている。それに対して、川端久子と道明和尚は、違うようだ。
 田辺(母)麻美さんは、川端久子・道明和尚に近い人のような気がする。

 洋一郎の父の読書傾向は、かなり異色だと思う。「思いがけない本」が何であったかはまだ明かされていないが、昔読んだ本のシリーズを読破するだけでなく、繰り返し読むということは、私には到底できそうもない読み方だ。『尾崎放哉全句集』の読み方にしても、念の入ったものだと思う。

 父が読書好きだっということは、洋一郎は今までは全く知らなかっただろう。ちなみに、読書家であることと、ギャンブルに溺れることは、矛盾しない。