新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第148回2018/10/31 朝日新聞

 ハーヴェスト多摩は、最晩年の理想の住まいだと感じる。私には、手の届かない金額が必要だ。それなのに、今回の様子を読むと、羨ましい気持ちになれない。
 どんな住居にいようが、おじいちゃん・おばあちゃんと孫の関係はこうなるだろうと思う。要するに、一緒に暮らしていない同士が、たまに会うと互いに疲れてしまうのだ。孫と祖父母がそうだということは、親子もそうなのだ。
 たまに会うと、親子が互いに疲れるということは、なんだか味気ない社会だ。これでは、洋一郎と二人の子どもとの将来の関係と、洋一郎と実の父の関係と、どちらが幸福なのか、わからなくなる。
 この両方を比べるのは、極端ではあるが。