新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第170回2018/11/23 朝日新聞

 娘、美菜に洋一郎が文句を言われる筋合いがあるのか。
 でも今の家族はこうなるだろう。家族は、母親を中心として動き、父親は、家族の行事にはいない方が「グッドジョブ」となる。この方が、家族の間はうまくいく。
 うまくはいくが、自分が洋一郎のような父親の立場だけに、なんともやるせない気がする。
 
 別れたきりになっていて、その上、死んでしまった実の父のことは、さっさと片付けてしまった方がよかったのか。

 父にかかわると、やはり、厄介なことになってしまうのだろうか‥‥。

 その父は、一人で暮らしながら、妻と子のことを気にかけ続けていた。気にかけてはいたが、会おうとはしなかった。そして、自分の人生を自分史にまとめ、自分のことを知らない人がそれを読んでくれればいいと思っていた。