新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第174回2018/11/27 朝日新聞

 コワモテで、不機嫌そうだ。でも、悪人でも不機嫌なわけでもない。仕事上の昔の仲間の死に線香をあげるためにわざわざ出向いてきている。そして、ノブさん(洋一郎の父、石井信也)の息子を前に笑顔を見せている。
 家族、親戚は、誰も父の死を悲しまないし、洋一郎を除きかかわろうとさえしない。
 大家(川端)さん、照雲寺(道明)和尚、和泉台文庫の田辺さん、自分史の編集者の西条さん、そして、トラックドライバーの神田弘之さんは、父の死を驚き、悲しんでいる。
 この対照がますますはっきりしてきた。
 これほどの違いが描かれていくのには何か、理由がありそうだ。
 
 初めて会った神田さんの言葉から、洋一郎の父のことがまた一つ明らかになってきた。