新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第176回2018/11/29 朝日新聞

 洋一郎の父の人物像としては、尾崎放哉の句を愛好する読書好きの人であった。それは、和泉台文庫での「カロリーヌおじいちゃん」の呼び名や、自分史作りの夢に通じる。ところが、神田さんの話からは釣り好きの面が出て来た。読書と釣りが趣味という人は珍しくない。しかし、神田さんの釣りにかける情熱は、趣味の域を超えている。その神田さんと、父がとことん話が合うということは、父の釣りへの情熱も相当なものだったと感じる。
 本が好きで、旅も好きで、釣りは仕事よりも大切、そんな人物像が浮かぶ。さて、ギャンブルはどうなったのか?