新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第201回2018/12/25 朝日新聞

 有料老人ホームでは、個室で、自分の思うままに時間を過ごせるし、食事、入浴、洗濯などに煩わされることもない。しかし、それは、一人暮らしで、食べたいときに食べ、酒も飲みたいときに飲む暮らしをしてきた人には、居心地が悪いのだ。
 後藤さんは、健康にはよくないが、自分の思うように飲み食いをする暮らしを続けてきたのだろう。あるいは、認知症というよりもアルコール依存症なのかもしれない。
 とにかく、後藤さんの息子が、自分の父の今までの生活を、急いでなんとかしないとならない状況にあったのだろう。