新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第202回2018/12/26 朝日新聞

 介護サービス付きの共同住宅で暮らすのは、そこにしかないようなトラブルも付きまとうのだろう。
 自分で、人生最後の住まいとして、こういう施設を選んだ場合は、そこでの暮らしのトラブルやストレスを乗り越えることもできるだろうが、自分で望まない場合は、そうはいかないと思う。
 後藤さんの場合は、今までの様子から、自分で望んで多摩ハーヴェストに入居したとは思えない。望まないどころか、息子に無理やり入れられた、という推測さえできる。

 洋一郎は、後藤さんのようなタイプの人を上手に扱えると思えない。
 自分史の真知子さんやトラックドライバーの神田さんのように押しの強い人には、結局言いなりになってしまってきた。後藤さんも自分の言い分を変えないタイプの人だろう。