新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第212回2019/1/6 朝日新聞

 洋一郎は、実の父のよい面を発見できることを、期待していたのだろう。
 姉や親類の人たちから聞かされてきた父と、自分がかすかに覚えている父とは、洋一郎の心の中で違いがあったのだと感じる。
 父が死んで、父の晩年を知る何人かの他人から、穏やかで人に迷惑などかけない父が、はじめて浮かび上がってきた。だが、そんな「幸せ一杯のおじちゃん」のイメージの父を認めることはできなかった。
 それが、今度は、今まで姉からさんざん聞かされてきただめな父の姿を突き付けられた。
 普通なら、洋一郎は、もう他の人には電話をかけないのでくれ、と言いそうだ。だが、ここまでくると、洋一郎は、父の悪い面をも確かめたくなるような気もする。

 章のタイトル「トラブルメーカー」の後藤さんと、真知子さんと神田さんのやっていることが、どうむすびつくのか?