新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第219回2019/1/13 朝日新聞

 洋一郎は、真知子さんと神田さんに、何度も会おうとは思っていなかった。また、二人の行動に感謝することもなかった。それなのに、親密度は増している。洋一郎自身は意識していないのだが、父のことをこのままにはできないという思いが強いと感じる。
 西条真知子さんからも神田さんからも、父の悪い面が出て来た。それでも、父のことを切り捨てることができない。これは、洋一郎にも、神田さんが言うように、「どんな親だろうと‥‥親は、親だ」という感覚が心の底にあるのだろうか。