新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第268回2019/3/5 朝日新聞

 離婚するというのは、当人同士だけの問題に止まらないと思う。
 子がいれば、親の離婚は、その子の一生にかかわる行為だ。
 さらに、当人同士も、離婚後の二人の関係は、まったくなくなるものでもあるまい。特に、互いが高齢となり、自立した生活が困難になると、離婚相手であっても、縁のない人とは違う感情がわくのではないかと思う。
 社会に、高齢者のひとり暮らしが増えるのは、今まで経験のないことだと思う。それだけに、孤独死、ゴミ屋敷などの独居老人による近隣への迷惑、同居しない家族の介護負担、これ以外にもいろいろな影響が出ているのではないか、と思う。