新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第281回2019/3/18 朝日新聞

 死んだ人のことをどうとらえようと、それは生きている者の勝手なのだ。改めて思うのは、死者は肯定も否定もできないということだ。
 父との交流を懐かしみ、父の死を悲しんでくれるのは、洋一郎にとってありがたいことに違いない。しかし、真知子さんと神田さんが言っていることは、身勝手が過ぎると感じる。
 興味だけで、死者のことを詮索しているし、遺族が決めるべきことへ他人が口出ししている。今回の真知子さんと神田さんの言い分には、腹が立つ。また、航太の言っていることも軽はずみだと思う。