新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第282回2019/3/19 朝日新聞
 
 真知子さんが話した小雪さんと父が別れた経緯を、航太は聞いていない。だから、こんなに素直に「おじいさん」に感情移入できるのだ。でも、いずれは、航太も「おじいさん」の困った一面を知らされることになるだろう。その時に、航太はどう反応するのだろう。
 一方、洋一郎は、父が金銭にだらしがなかったことを克明に知らされた。それでも、生きていた父の心情に共感している。
 この父子、洋一郎と航太の対比に興味をひかれる。