新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第298~302回2019/4/4~4/8 朝日新聞

 後藤さんは、洋一郎に自分の情けない部分を全て打ち明けたと思う。もし、これ以外にもっと何かあったとしても、それは後藤さん自身も気づいていないことであろう。
 息子と奥さんへの虚勢が消えてからの後藤さんの生き方は、父親として失格というだけでなくて、人としての生き方に問題があったと思う。

 後藤さんの過去が明かされても、読者として何かすっきりしない。それは、今までの疑問が消えないからだ。
①後藤さんは、なぜ洋一郎に全てを話したのか?
②今の後藤さんの息子への本心は?
③後藤さんの話を聞き終わった洋一郎の気持ちは?

 息子に賭けた父親の生き方が示されたが、それと洋一郎の父の生き方は違うものとして描かれるのだろうか?

 後藤さんの打ち明け話を聞いている時の洋一郎の冷たい感情が、気になる。後藤さんのことをただの入居者として扱えなかった今までの気持ちと矛盾するように思う。