新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第363回2019/6/11 朝日新聞

 洋一郎と姉の宏子との姉弟らしい会話が、はじめて出てきた。年を取った姉と弟が交わす互いの孫についての会話は、しみじみとしていてよい感じだ。

「でも、よく考えたら、外孫だの内孫だの、長谷川の家の墓だの合同墓だの、アホらしいね、もともとツギハギだらけのウチなのにね……」

 姉のこの言葉もその通りだと思う。今までの怒ってばかりいる姉とは違う印象だ。
 姉の宏子には、洋一郎に話したことのない実父との思い出があるような気がする。