新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第364回2019/6/12 朝日新聞

 でき過ぎたストーリーのようで、そうではない。
 親が、特に年老いた親が、すでに老境に差しかかった子に昔の親子のことを語るのは、こういう状況がなければならないと思う。そうでなければ、照れくさくて話せないだろう。
 次の世代へ命を受け継ぐということには、前の世代の死がなければならないのだ。
 死ぬことや死に伴う事柄、つまり、なんらかの形での葬式や法事や墓や墓参りを抜きに、新しい命にバトンを渡すことなどできないと、作者は言いたいのだと思うし、そこに共感できる。