新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第365回2019/6/13 朝日新聞

 こういう父としての子への行動が、人間としての父性であろう。理屈などない男親としての子への愛情表現だと感じる。
 ここで思い出すのは、後藤さんの場合で、おそらくは後藤さんも我が息子が物心つくまでは、洋一郎の父と同じような一直線で不器用そのものな愛情を持っていたと思う。
 こういう愛情表現は、子どもの幼児期で終わりをつげるのであろう。なぜか子どもが物事を記憶する年齢になると、父親の正に親バカといえる行動も姿を消す。姿を消すというよりは、子ども本人や母親から迷惑がられる行動になってしまうと思う。