身体の調子が悪くて、辛い時は、生きているのがいやになる。
嫌になったからといって、死ぬわけにもいかない。
ぼやきながら、なげきながら、暗い気持ちで、生きている。
もちろん希望に満ちたときもある。
でも、すぐに弱音をはき、周囲にいわれるままに、病人としての日課をこなす。
これが実態だ。

この暗い気持ちが変わってきた。
ものに励まされるのだ。
目覚めてボンヤリとしている周囲が、めがねの助けで少し見えるようになる。
車いすを変えると、家のなかの移動が楽になる。
ミニコンポを部屋に持ち込むと、CDを楽しめるようになる。
身の周りのモノが、もう少し生きろと、語りかけてくる。

このモノの象徴が、『百万回生きたねこ』だ。