本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

カテゴリ: 夏目漱石 『門』の感想 

 いつも心のどこかに存在し続けた不安を、乗り越えることができた。 押しつぶされそうになっていた不安は消えてはいない。その不安から逃げる方法も見つからない。だが、宗助は、不安に悩み、不安に怯える境地から一歩を踏み出すことができた。 この小説のどこから、上の…
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 世間の道徳に反して、恋によって結ばれた宗助と御米の日々が全編を通して描かれていた。 宗助は、御米に向って「愛している」とは一言も言わない。御米を喜ばせることや家事を手伝うこともほとんどしない。 そうでありながら宗助が真に思うのは、御米だけだ。 御米が病…
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 働くことに喜びも生きがいも見い出せない。労働は、賃金を得ることが第一義だ。そして、賃金を得なければ生きていけない。どんなにいやでも食うために働き、俸給をもらわねばならない。 夏目漱石は、近代以降の俸給生活者、サラリーマンの姿を描いている。 食うために職…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第104回2016/3/3 『門』を読むことができてよかった。 過去に読んだかどうか曖昧だったが、初めてだった。 坂井の口から安井の事が出てからは、連載を待ち切れず最後まで読んでしまった。その後も、連載は毎回読み続けた。最終回を読んで、…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第103回2016/3/2 坂井の菓子と蛙についての話は、印象に残る。 夫婦が長年連れ添っているだけで、それはめでたいことだ。平凡にただ生きていることは幸福なことだ。坂井の話からは、こういうことが思い浮かぶ。 不安に押しつぶされそうにな…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第102回2016/3/1 坂井は、弟と安井の満洲と蒙古での行動を価値のあるものとはとらえていない。 宗助も、安井のことを詳しくは聞かないが、満洲へ渡ったというだけで、彼が世間から外れた不安定な生活を送っていると考えている。 これは、坂…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第101回2016/2/29 十日間の修行は無駄であったのか。 若い禅僧は、宗助が求めていた境地にいる人だったと思う。しかし、その悟りの境地に至るには、膨大な時間をかけた修行か、家族や職業を捨てた生活をしなければならないと、理解したであ…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第100回2016/2/26 禅寺で過ごしたことは、何の成果も上げなかったが、無駄ではなかったと感じる。、悟りの境地には全く届かなかったが、禅寺での体験は宗助に変化をもたらしているとも思う。彼は門を通る人ではなかった。また門を通らないで…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第98回2016/2/24 宗助は、講者から修行に対する自分の不心得を叱られたと感じている。感じているだけでなく、実際にそうなのだろう。 座禅には相変わらず身が入らないが、講者からの話には興味を持っている。 この寺に来てからも宗助の心が…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第97回2016/2/23 自分の答えを老師に退けられても、宗助は熱心に修行しようとはしていない。では、禅の修行をばかにしているかというと、そうでもない。宜道を大変に好ましい人物と感じている。が、宜道を目指して修行に励もうというのでもな…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第96回2016/2/19 宗助の考えは、老師によってたちまち退けられた。 答えに自信はなかった。座り続けて得た答えでもなかった。全くわかりませんでした、というのでもない。 座禅は続かなかったが、宗助は宗助なりに考えに考えた答えだったと…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第95回2016/2/18 公案に対する考えを述べようとする修行者たちの様子が詳しく描かれている。 身を入れて坐ることもしなかったのに、宗助は意外に平気なようだ。真剣に座禅をして、公案に取り組んではいないのに、老師の所へ行く手順や周囲の…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第94回2016/2/17 心の救いを求めて、座禅の修行に来たのに、身を入れて座る努力もせずに時間を過ごす宗助が描かれている。 宗助の行動と気持ちは、山寺へ来る前と何の変化もないように見える。表面的にはそうなのだが、本当にこの寺に来たこ…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第93回2016/2/16 座禅がうまくいかないと自覚した宗助は、書物を助けにしてみようとする。しかし、それも宜道によって止められた。 彼はただありのままの彼として宜道の前に立ったのである。しかも平生の自分より遥かに無力無能な赤子である…
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第92回2016/2/12彼は悟りという美名に欺かれて、彼の平生に似合わぬ冒険を試みようと企てたのである。そうして、もしこの冒険に成功すれば、今の不安な不定な弱々しい自分を救う事が出来はしまいかと、果敢ない望みを抱いたのである。 これか…
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