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朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

カテゴリ: 新聞連載小説 吉田修一作 国宝 の感想

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第154回2017/6/7 歌舞伎役者としての喜久雄の本当の力が、だんだんに分かってきた。いかに、稽古に打ち込もうと、たかだか四年になるかならないかの経験では、人気が出てもこんなものなのだろう。 そうなると、その経験不足…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第153回2017/6/6 今日の挿絵は、舞台用のかつらと小道具に見える。だが、興行面の思惑だけで、動かされている喜久雄の姿と見ればそうも見える。全ての物事は、視点によって全く違う様相になると思う。 もしも、喜久雄の心情…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第回2017/6/5 いい役がつくかつかないかは、役者の生命線だ。そして、後に名優と評価の定まった人でも、不遇の時代はある。その不遇の時、いい役がつかない時期をいかに乗り越えるかが後々に影響を及ぼすのだろう。 半二郎…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第151回2017/6/4 歌舞伎役者の本分は芸の上達とそれによって観客を酔わせること、などと喜久雄は考えていない。芝居とは何か、演劇の本質は何か、演技の真髄は何か、などを議論したりするのは喜久雄には無縁なことだろう。 …
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第150回2017/6/3 ザンネン。予想できなかった。伏線はあったのに。 代役が喜久雄だということを確かめた半二郎の入院先病院からの帰り道だった。俊介は、喜久雄に殴りかかったが途中で力が抜けて、父が決めたことだからと、…
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 143回の感想 でどうすれば半次郎と喜久雄自身が満足するような役作りができるだろうか、と疑問に思った。 中座での『曾根崎心中』の喜久雄の演技は、結果として大絶賛を浴びた。それは、喜久雄の今までの激しい稽古の積み重ねと、半次郎の病室での三日三晩の一心不乱の稽…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第149回2017/6/2 家出ということであれば、役者を捨てるという覚悟なのか。 俊介の行動は十分に理解できるし、喜久雄が半次郎の跡取りとして活躍するには、自分がいない方がよいと考えるのももっともだ。もっともではあるが…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第148回2017/6/1 京都南座での喜久雄と俊介の「二人道成寺」は、二人同時の人気沸騰だった。半次郎の事故後の大阪中座でのそれは、違っていた。ここで、俊介は初めて喜久雄をライバルとして見ざるを得ない状況に追い込まれた…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第147回2017/5/31 今の喜久雄に、俊介の立場になってみろというのは無理な話だ。しかし、俊介を追い出して、半次郎の跡取りになろうなどという気はなかったはずだ。が、喜久雄の言っていることは、正にそのことになるのでは…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第146回2017/5/530 一読者としても、庄左衛門の言葉にほっとした。 喜久雄はどれほど安堵したか、喜久雄の心の内が伝わってくる。しかも、その庄左衛門の言葉がただ褒めるだけでなく、教えを含んでいる。 喜久雄は、自分が…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第145回2017/5/29  ある意味では、初日の舞台よりも厳しいのがこの立ち稽古なのであろう。喜久雄の必死さはもちろん、俊介の緊張、関係者の不安が伝わってくる。 さて、この後が、半二郎が𠮟責した「(略)舞台でちゃんと…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第144回2017/5/28 代役を立てなければならないという時には、あらゆることが半二郎の頭を巡ったのであろう。①半二郎の役どころであるお初をきっちりと演じられる芸を持った役者。②代役にした役者と半二郎の今までの関係と…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第143回2017/5/27「(略)舞台でちゃんと生きてへんから、死ねへんねん!」まだお初が頭の中にいる。早くこのお初を追い出して、自分がお初にならなければと、(略) どうすれば半二郎の境地に、そして喜久雄が求めている境…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第142回2017/5/26 普段は表面に出ないが、喜久雄と俊介の間には、激しい競争心があるのかもしれない。 喜久雄が稽古に熱心に取り組んだのは、最初は好きだからという単純な理由からだったと思う。しかし、それだけで並外れ…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第141回2017/5/25「(略)人ん家(ち)に入り込んで、一番大切なもん盗みくさって!(略)」 俊介は、怒りと憎しみの感情を爆発させ、それを吐き出した。そして、吐き出した後、冷静になった。、「(略)『実の息子より部屋…
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