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新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 の感想と、読んだ本の感想を更新しています。

カテゴリ: 重松清作 連載小説『ひこばえ』の感想

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第390~391回2019/7/8~7/9 朝日新聞

 良い父と良い息子、ダメな父と良い息子、良い父とダメな息子、ダメな父とダメな息子。これらにどれほどの違いがあるのだろうか?
 案外、ダメな父とダメな息子の関係が、一番強かったりするのかもしれない。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第389回2019/7/7 朝日新聞

 こういうインターネット上のニュースの扱い方の分析を、「若手スタッフ」に言わせる所が、この小説の細部を魅力のないものにしていると、感じる。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第388回2019/7/7 朝日新聞

 回りくどい考え方をしているが、今までの洋一郎の言動を振り返ると、後藤さんに対しては、こういう決断をするしかないと、感じる。

 洋一郎は、後藤さん父子のどこに、ひっかりを感じているのだろうか。自分と実の父の関係と、つなげて考えているとしか思えないが。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第387回2019/7/5 朝日新聞

 後藤さん本人のハーヴェスト多摩でのトラブルに、通常の処理をしなかったのは、洋一郎自身だったはずだ。しかも、たびたび拒否されたのに、将也さん本人からの電話を待ち続けていた。
 こんなことなら、施設長として、将也さんに秘書室長を通して、これ以上トラブルが重なるようなら、退去してもらう旨の警告、つまりはそれが、こういう場合の通常の処置だと思うが、それをしておいた方がよっぽど理屈が通る。
 どっちにしても、後藤さん本人が、洋一郎や施設のスタッフが予想するような反応をしないと思う。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第385回2019/7/3 朝日新聞

 今日の夏子は、ゴシップ好きで、スキャンダルに興味津々の主婦に描かれている。
 洋一郎の父の四十九日の法事に自ら進んで参列した時の夏子は、初対面の川端さんや、どう見ても変な人物の神田さんや、真知子さんについて何のうわさもしていなかった。
 洋一郎の父の法事に参列した人たちは、どう考えても普通じゃないと思う。それなのに、夏子は、神田さんのことを洋一郎に訊いてさえいなかった。
 夏子の描かれ方に納得いかない。

 洋一郎が、この先、自分の墓を建てるようなことになれば、妻の夏子は、キーパーソンになるはずなのに。
 登場人物描写に納得いかない。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第384回2019/7/2 朝日新聞

 姉は、スッキリしただろう。姉の、父への今までの悪口も、また亡き父との今の別れ方も、筋が通っている。要するに感情のままで、自分の都合だけだ。遺骨の葬り方、墓を受け継ぐ方法などへは一切関わらない態度だ。 
 洋一郎は、それをすんなり??受け容れている。
 そして、ストーリーは棚上げになっていた後藤さんのことに戻った。
 
 小雪さんと遺骨の対面は?
 母の墓のことは?
 友人の佐山夫妻のその後は?
 真知子さんや神田さんや川端さんは相変わらず父のことに関わり続けるのか?
 それとも、これらは最後まで棚上げ‥‥

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第383回2019/7/1 朝日新聞

 姉は、長年心に押さえ込んでいた父への思いを解放できた。洋一郎は、姉が父について持っていた感情の大転換を目の当たりにした。
 それなのに、こののんびりした姉弟の様子は?納得できない。洋一郎は、今まで姉に父への恨み辛みを言われ続け、遺骨遺品の始末も押し付けられてきた。その姉の転換は、喜ばしいことではあるが、この程度の受け止めしかないのであろうか?
 納得できない小説だ。徹底して現代の現実の家族を描いている、と作者に言われれば、それはそうなのだが‥‥

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第380~382回2019/6/28~30 朝日新聞

 比婆に着いてから、姉は父との思い出を次々に話してくれる。懐かしい町に来て、忘れていた記憶がよみがえったのか、それとも、もともと覚えていて、けれど口に出さなかったことを、いまようやく、私に伝えてくれているのだろうか。(381回)

 ようやく洋一郎が姉の変化について反応し出した。でも、こんなことを迷うだろうか。姉はもともと覚えていたに決まっていると思う。

 姉、宏子の言動に納得いかない。
 姉は、本心では父のことが好きだったし、父との思い出を大切なものに感じていた。それを長年誰にも言わず、自分の内に持ち続けていたと感じる。そんな姉の真情が、今、初めて解放されたのだと思う。
 それだけに、父の遺骨を故郷の思い出の川に散骨し、海に流れつかせてあげたいというのは姉の今の気持ちだと思う。でも、それを表すには、橋の上の姉の言動は、あまりに唐突だ。
 姉は洋一郎のことをバカにしているのか?
 まあ、バカにされてもしかたのないような描かれ方をしている主人公ではあるが‥‥

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第379回2019/6/27 朝日新聞

 姉は、父と洋一郎との出来事をたくさん覚えていた。しかもそれは、家族が仲のよい状態での良い思い出だと思う。そのことを、姉は洋一郎に一切言わないできたことが分かる。姉は、父の悪い面ばかりを洋一郎に繰り返し言い続けてきた。これは、ある意味では洋一郎を騙していたことになると思う。
 その姉が態度を変えたことに、洋一郎はなんの反応も示さず、父の若い頃の気持ちばかりを考えている。
 納得できない展開だ。

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