本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

カテゴリ: 新聞連載小説・沢木耕太郎・『春に散る』の感想

 どんな破天荒な小説にも、現実世界を生きていくために役に立つことが含まれている。 親子・夫婦を土台とする家族の拒否 広岡には、父も兄弟もいる。藤原と星は結婚していた。翔吾の両親は健在で近所に住んでさえいる。 しかし、見事なほど家族を基盤とした人間関係は出…
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 主人公は、死ぬ。  藤原、佐瀬、星は、本人たちがその気になりさえすれば共同生活を続けられる。 翔吾と佳菜子は、アメリカに渡り、それぞれの夢の実現へ歩みだせる。 主人公の遺書がそれを裏付けている。遺書だけでなく、令子が主人公の遺志を実現させるであろう。 …
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎最終回2016/8/31 ボクシングは、最終的には勝ちと負けしかない。勝ちに喜びを見出さなければ、勝負は成立しない。 それは、正当な勝者の誕生には、敗者が存在することを意味している。敗者も全力で戦ったことは間違いない。 勝者に…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第504回2016/8/30その2 広岡が、日本を出た理由がわかったような気がする。 広岡への不公正な判定が、日本を離れた真の理由ではなかった。広岡は、日本にいては、真田と周囲の人たちの願いを叶えることができないのを悟ったのだ。だ…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第504回2016/8/30  勝利は、次のことを意味すると感じた。 広岡は、真田会長の願いを実現させた。真拳ジムから世界チャンピオンを出したのだ。 しかも、その勝ち方は、インサイド・アッパーでもクロス・カウンターでもなかった。…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第503回2016/8/29 予想しない結果だ。 作者が、判定についてこれだけ詳しく書いているのは、この判定が正しいものであることを伝えたかったのだろう。 だから、この勝利は僅差とはいえ、間違いなく翔吾の勝利なのだ。 この勝利が…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第502回2016/8/28  クロス・カウンターでも決着がつかない。 残るラウンドは、十一と十二ラウンドのみ。両者最後のラウンドまで倒れなければ。  広岡の立場に私がたてば、次のようにしただろう。○共同生活はごめんだ、と言う星…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第501回2016/8/27 主人公広岡の気持ちを読めていなかった。 広岡は、世界チャンピオンよりも翔吾の眼を優先して、眼の状態が悪化すれば、タオルを入れると読んでいた。 タオルと入れるとすれば、今しかない。しかし、星が言ったに…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第500回20168/8/26 試合の最中だが、令子の言った言葉が私の頭から離れない。「でも、いまは仲間がいるじゃない。黒木君や佳菜子ちゃんもあなたを慕ってる。それ以上、何が必要だと言うの?」 490回  広岡の今を言い当てていると…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第500回20168/8/26 意外だった。 ここで、インサイド・アッパーが出るとは。 ということは、広岡直伝のクロス・カウンターがまだある。 翔吾の眼が致命的な状態になる前に試合を終えられるか。 広岡の心臓は、試合の終わりまでも…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第499回2016/8/25第六ラウンド翔吾をなかなか捉えられないことにバイエフが苛立ち始めた。 これは、大きな変化だ。相手の「苛立ち」は、翔吾のチャンスにつながるはずだ。(略)バイエフは打たれても、それをものともしないという勢…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第498回2016/8/24それが自分の眼を守る最善の方法だと考えたに違いなかった。 勝つことと同時に眼を守らなければならない。 二ラウンドまでは、翔吾のジャブがバイエフの体力を消耗させ、ポイントも翔吾に有利だ。だが、‥‥(略)…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第497回2016/8/23 おもしろいアィデアだ。大塚の完璧なアウト・ボクシングをどうやって身につけるかは、明かされなかった。それが、出てきた。 ただ、アウト・ボクシングと広岡のクロス・カウンターだけでは、何かが足りないような…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第496回2016/8/22 挿絵が、なんともいい! チャンプにとっては、試合の結果はどうでもいい。 チャンプが期待しているのは、翔吾と佳菜子と広岡たち四人みんなが無事で帰ってくることだ。そして、六人揃っての生活が昨日と変わらず…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第495回2016/8/21 藤原と佐瀬と星は、食事や日常生活で広岡に頼っている面が多い。もちろん、住居の費用は広岡任せだ。それでいながら、三人それぞれにけっこう好きなように暮らしている。 広岡の病気のことに気づきながらも、早く…
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