朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第109回2017/4/22
 
 喜久雄と俊介の『道成寺』でのきれいさに評判が立っているのかと予想していた。二人の舞台での美しさが素人受けしていたのではなかった。大学教授の劇評家に「激賞」されるとは、東一郎と半弥の舞踊の芸そのものが評価されたことになる。
 この小説は、出来事や主人公の心情の変化によって筋が展開するというよりも、登場人物の動きで場が変わり、舞台が進行している気がする。
 挿絵にもある、鏡に映る「いかにも新入社員という若い男」、重要な登場人物になる予感を持たせる。