朝日新聞連載小説 『それから』 第六回 4月8日分
「大助」と「平岡」の関係は、次のようなものでした。
殊に学校を卒業して後、一年間というものは、殆(ほと)んど兄弟のように親しく往来した。
だが、「平岡」が職に就き、結婚してからは手紙のやりとりもだんだんに減ってきたとあります。
平岡の一身上に急激な変化のあったのは争うべからざる事実である。
以前の「大助」と「平岡」は、学校生活を共にして、しかも性格や行動の特徴も互いによくあったのでしょう。それが、距離的に時間的に離れてしまい、環境もずいぶんと変わってしまっています。そうすると、考え方も互いに変化してくることが描かれています。
友だちとして親しくなる要素として、お互いの性格や行動の仕方によると思いがちです。でも、その前にお互いが共有する時間や距離が近いということが土台になるのでしょう。
現実の生活でも、親しかった者同士なのに互いの考えが分からなくなってしまう場合が珍しくありません。そこには、共に過ごす時間と距離が離れてしまったことがいちばんの原因なのでしょう。
私のような年代の夫婦間と親子間でも、これはよく話題になります。例え、同じ家に住んでいても、共に過ごす時間の中身がなければ、それはもう取り返しのつかないことになるはずです。
感想がとんでもない方向に向かいましたが、人と人が疎遠になる様子を改めて示された感じです。
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