朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第64(65)回
 以前の回で、つばめが毎年巣をつくる店の老店主のことが出てきました。
 この回では、近所のボクシングジムの若い選手のために、見に行くこともしないのに、試合のチケットを買ってやる不動産屋の先代の社長のことが出てきました。
 自分の得にならないのに、近所の若い人のためにやってやる。こういう人はいたものです。つばめのことを思いやる老店主も対象は違うとはいえ、同じような心情でしょう。

 私もこういう気持ちがないわけではありませんが、実際にやったか、というと思い出せません。
 自分が飼っているわけでもない動物のために、近所づきあいとがんばる若い人のために、損得抜きで行動する。なぜ、こんなことを少し前の日本人はやったのでしょうか。そして、そういう心の人が以前はどこにでもいましたが、最近はどんどん減ってしまいました。これは、小説の中だけではないと感じます。ブログランキング・にほんブログ村へ