朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第456回2016/7/12

 年齢の違う屈強な男二人が猫を捜している図が目に浮かぶ。

 こういう飼い方をしていると、猫が数日戻ってこないということはある。今は、こういう飼い方は過去のものになった。だが、犬も猫も今の人間との距離が昔よりもよくなったかというとそうは思えない。
 他所の家の猫が、入り込んで糞尿をするのは現在では不愉快なことだが、犬や猫が家の内外で自由に動くことができるのは、人間の生活環境としては悪いものではない。

 チャンプのこともあるが、この二人は何か普段はできないような話をするのではないか。
 佐瀬も藤原も星も、翔吾にボクシングを教えた。広岡は、彼のクロスカウンターを説明しただけで、何も教えていない。