朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第493回2016/8/19
広岡が元気なうちに世界チャンピオンになろうとしている翔吾の気持ちは、よくわかる。
広岡は、真拳ジムから世界チャンピオンを出すことを、自分がすべきこととしていた。それは、亡くなった真田会長が望んでいたことであり、真田会長の望みにこたえようという気持ちは強い。
翔吾は、そんな広岡の気持ちを具体的に聞かなくとも、わかっていたのであろう。
では、広岡の方は、翔吾が世界チャンピオンになったら心から喜ぶだろうか。たとえ、世界戦が無事に終わり、しかも翔吾が勝っても、眼に不安を抱えていることに変わりはない。それでも、広岡は満足するだろうか。私には、広岡が心から喜ぶとは思えない。
翔吾は、広岡を信頼しきっている。広岡は、翔吾を無条件で受け入れている。そんな二人だが、互いの心の奥を知るのは難しい。
広岡が元気なうちに世界チャンピオンになろうとしている翔吾の気持ちは、よくわかる。
広岡は、真拳ジムから世界チャンピオンを出すことを、自分がすべきこととしていた。それは、亡くなった真田会長が望んでいたことであり、真田会長の望みにこたえようという気持ちは強い。
翔吾は、そんな広岡の気持ちを具体的に聞かなくとも、わかっていたのであろう。
では、広岡の方は、翔吾が世界チャンピオンになったら心から喜ぶだろうか。たとえ、世界戦が無事に終わり、しかも翔吾が勝っても、眼に不安を抱えていることに変わりはない。それでも、広岡は満足するだろうか。私には、広岡が心から喜ぶとは思えない。
翔吾は、広岡を信頼しきっている。広岡は、翔吾を無条件で受け入れている。そんな二人だが、互いの心の奥を知るのは難しい。